ヨガの時、呼吸はどこからが正解なの?
ダイエット専門ヨガリーラ代表の洲濱久美子です。
『ヨガの時呼吸は鼻から?口から?』
『吸うのは鼻?吐くのは口?』
『吸うのは口??吐くのは鼻??』
と、多数ご質問いただく呼吸法。
結論から言いますと
特別な呼吸法でない限り
鼻から吸って鼻から吐きます。
これには明確な根拠があります。
以下で詳しく説明しますが、ご興味がない方は見出しだけご覧いただければそれでもOKです。
口は呼吸器官ではないから
まずヨガ以前に無視してはならないのが
生体の機能です。
口は呼吸器官ではありません。
生体としての呼吸の役割を簡単にいうと
ガス交換、なのです。
我々人間は、口から取り入れた栄養素を燃焼し、代謝して生命活動を維持しています。
その際に、栄養の燃焼に必要なO2(酸素)を体内に取り込み、栄養の燃焼によって発生したCO2(二酸化炭素)を排出します。
これが「ガス交換」であり、その働きを「呼吸」と呼びます。
さて、我々の上半身を見てみましょう。
赤丸で囲んだ、口腔(唇から口の中)は、ガス交換に関与していません。
鼻から鼻腔(鼻の穴)を通り、喉に空気が通り肺に達し、体の隅々に酸素が行き渡ります。
呼気(息を吐く時)はその逆方向が起き、「ガス交換」が行われるわけです。
ですので、生体の機能としては「口呼吸」ではなく「鼻呼吸」が正しいということになります。
そのため、鼻毛など鼻には余分なものを吸い込まないようなフィルターがあるわけですね!
口呼吸は交感神経優位、緊張モードになる
口呼吸は、交感神経を優位にします。
交感神経は、生物が敵と戦う!敵から逃げる!!という際に発動するモードで、つまりは緊張モードなのです。
口呼吸が習慣になるということは、わざわざ攻撃・逃避モードに自分を導くということ。
ただでさえストレスが多い現代人にとって、口呼吸は弊害が多いと言えましょう。
ただし、後述しますが「活性化したい」「ぼんやりモードを切り替えたい」「アレルギーでぼーっとした頭をはっきりさせたい」などの意図がある場合は、口から吐くことはとても有効です。
また、鼻呼吸の方が口呼吸より呼吸を細く長く行うようにコントロールができるから、という意味もあります。
ヨガの聖典にはっきり記載されている
さて、次にヨガの視点からお話ししましょう。
ヨガの聖典にはっきりと「鼻からの呼吸」と書かれています。
正確に説明しますと、ヨガの呼吸法は単なるガス交換的機能を指しません。
プラーナヤーマ(調気法)と呼ばれる行で、私たちの体にある見えない気道を清潔にして心を落ち着け、平和で安定に満ちた心身状態を目指します。
見えない気道は、体内に72,000本あると言われています。
最も重要な中心的な軌道は、体の真ん中を通るスシュムナー、そしてスシュムナーを中心に左右にあるイダー(月の気道)とピンガラ(太陽の気道)です。
「気道」に汚物が詰まると、気が乱れ、体にも不調が起こり病期になる、と言われています。
簡単にいうと、その見えない気道をお掃除するのがヨガの呼吸法であり、左右の気道は尾骨周辺から発して左右の鼻に行き着きます。
プラーナヤーマにはいくつも種類がありますが、有名なところで言うと太陽と月、つまり陽と陰のバランスを取るため左右の鼻の穴から交互に息を吸って吐く呼吸で心の安定を図る、ナーディーショーダナという呼吸法があります。
また、怒りや興奮が寝らない時は冷性のエネルギーをプラスしてくれる月の気道を優位にする左の鼻の穴から吸って右の鼻の穴から吐いてという、チャンドラ・ベーダナという方法もあります。
これらの方法は、紀元前から行われてきた行を文字として「ヨーガ・スートラ」という書物に紀元2-3世紀ごろから残され始めてきて、具体的な方法は16-7世紀に記された「ハタ・ヨーガ・プラディピカー」に明快に記されています。
日本語にも翻訳されており、佐保田鶴治先生という方が訳し解説なさった「解説ヨーガ・スートラ」「ヨーガ根本経典」などがありますのでご興味ある方はご一読ください。
さらに、近世においてヨガのポーズや呼吸法を書物として残してくださったB・K・Sアイアンガー先生が著書の中でもはっきり「鼻から」と言った表現で呼吸法を解説なさっています。
口呼吸の特例とは
さて、冒頭に「特別な呼吸法以外では鼻呼吸」と書きましたね!
特別な呼吸法、はこんなものがあります。
①シンハアーサナ
ストレスMAX!!!
あるいは元気がなくて浮上したい・・・
といった時に行う呼吸法といういか、ヨガポーズです。
ライオンのポーズと訳せ、鼻から吸って口から舌と共に太く息を吐き出します。
②シータリー/シートカーリー
心身ともに涼しさを求めている時に行う呼吸法。
舌をストローのように丸めて、息を啜り込み鼻から吐きます。
舌を丸められない方は、舌を軽く前歯で挟んで啜り込みます。
こうして見ると、インド古来から行われてきたヨガが現代の科学的にもとても合理的なものであることがわかりますね!
すごい!!
鼻からの呼吸がむずかしい場合は
ここまで、ヨガの呼吸について鼻呼吸だよというお話しを続けました。
ですが、アレルギーなどで鼻呼吸が難しい方もいらっしゃることと思います。
その場合は、ヨガのたびに鼻呼吸にトライしてみて、難しかったら口呼吸にチェンジしましょう。
重要なのは、鼻呼吸をトライするということ。
ヨガの聖典にも「プラーナヤーマは辛抱強く、時間をかけて習得すべし」と書かれているほどですから!
教わったことと違う!という場合
ここまで解説してきましたが、「私のヨガの先生ということが違う!」と思われる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
私自身は15歳の頃からヨガを続けおり、ヨガの研究探究は趣味でありライフワークではありますが、全世界・全時代のヨガを習得することはあり得ません。
ですので、私が知らないヨガの解釈はある訳です。
呼吸法のみならず、疑問がありましたらぜひ皆さんのヨガの先生に質問なさってください。
ヨガを教えるということは、生徒の疑問に答えられなければならないのです。
「その方法、私は知らないわ!」も含め、回答だと私は考えます。
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