親が死ぬことが、一番怖いことなんです

50代、60代の一番怖いこと

サティア・ヨガの生徒さんは、50代60代の方が多くいらっしゃいます。

セミプライベートヨガレッスンは、対話も含んだヨガレッスン。


体に向き合おうとすると、まず気持ちが溢れることが多いです。

ある生徒さんとの対話です。

前回、ヨガの目的は心の揺れを無くすこと。

心の揺れがなくなる事で、本当の平穏が訪れる。

というお話をしました。

「この歳になると、一番怖いのが親との別れなんです。

歳をとって、先に逝くのは当たり前だと頭ではわかっているんです。

でも心は親がいなくなる事をとても恐れているんです

心を揺らさないことが平穏だってお話を聞いたけれど、やっぱり怖いんです」

とおっしゃいました。

親の死が怖いのはなぜ?

ヨガでは「心の揺れをなくすことが本当の平和な状態である」としています。

何千年も前から、ヨガをやる人たちは見抜いていたのです。

愛情も、愛着も、喜びも、全て苦しみに変わる、と。

親がいなくなるのが怖いのは、どうしてでしょう?

愛しているから、に他ならない。

心の平和のためには、親を愛する事をやめる必要があるのでしょうか。

私の答え

Nさんより年若い私が何を答えられるでしょう。

私には答え、は出せませんが、私の経験や思考をシェアすることはできます。

「ちょうど小学三、四年生の頃。

私は毎日祖父母が死ぬのが怖くて、苦しんでいました。

祖父母がいなくなったら、いよいよ母が死ぬ番になる事が、一番の苦痛でした。

悩んで悩んで、苦しくて苦しくて。

それから数年後、小学校卒業前くらいだったと思います。

同じ悩みがもっと深くなって、その時思ったんです。

『母が死ぬのが嫌だ、怖い』という気持ちは、私を愛してくれている人がいなくなるのが嫌なだけなのではないか、と。

純粋に家族を思って、死を恐れているのか。

そもそも「愛情」は、自分にとって有益な人への執着に過ぎないのではないか。と。

母への想いを執着だと見極めれば、こんなに苦しまなくて済む。と思ったのです。

そしてそれを実行してみました。

するとわかったんです。

心を乾かして、心を冷たくすることは決して平和な心をもたらさないと。

結局答えは出ていません。

当時の私の考えは、ある意味正しいのでしょう。

でも歳を重ねた今、メリットだけれは愛情を持つことはできない事を知っています。

損得のない、心から湧き出る愛情や想いによって、私たちは日々豊かな人間として生きていけるのです。

だから、親の死が怖いという事を味わい尽くす。

怖がり尽くす。

時には目をそらそうとする。

それしかないと思っています」

心の揺れ動きがあるから、平安がわかる

もともと心が揺れ動かない人には、絶対に平安や安定は理解できません。

Nさんの苦しみへの直接的な回答にはなっていません。

私の答えに、Nさんは深く何かを考えたご様子です。

人間は、意味があって弱く生まれたのだと思うのです。

悩み苦しみ弱る、それはこの生を授かった目的なのかもしれません。