内田真弘先生の、呼吸と体の教室です。
昨日の講義の記事に、内田先生がコメントを寄せてくださいました。
「呼吸と息遣いの違いを(体感してほしい)」
呼吸と息遣いの違い、私はこう解釈しています。
呼吸は、自律神経
呼吸とは、自律神経が司る機能です。
自律神経って?
それが乱れると、命が続かなくなる機能をコントロールするもの。
自由意志でうっかり呼吸を止めてしまって、うっかり死に至ったら大変です。
試しに息を止めてみましょう。
限界を超える方も、いらっしゃるかもしれない。
意識が朦朧としてきたあたりで、自然に呼吸は復活します。
ヨガの苦行で、「水中の行」を行うこともありました。
「水中」なのは、空気中だとどうしても体が勝手に呼吸をしてしまうから、なんです。
内田先生が、わざわざ「呼吸」と「息遣い」を分けていらっしゃるのはどうしてか?
「息を遣う」のは、私たちの意志です。
つまり、生命を維持する呼吸ではなくて、なんらかの意図を持った「空気の出し入れ」が息遣いだということ。
実は医学的にも、呼吸には
・生命を維持するための呼吸
・情動呼吸
の二種類があります。
情動呼吸とは、例えば緊張して息が浅くなる→深呼吸して落ち着かせる
一日の終わりに、暖かい湯船に身を沈める→ため息をつく
生きるための呼吸とは違った、息の遣い方。
情動呼吸が、息遣いにあたり、それをヨガではプーラナヤーマと呼ぶのです。
息遣い=プラーナヤーマ
プラナヤマは「呼吸法」と翻訳されます。
しかしこれは誤訳に近いと私は考えています。
プラーナとは、宇宙・世界にあまねく満ちているエネルギーのこと。
数日前に、太陽フレアが起こり、地球上の通信機器への影響が懸念されましたね。
これもプラーナの一つの形と言えるでしょう。
人体内では、呼吸や体液の循環・思考の動きなど、いわゆる生命エネルギーと呼ばれるものになります。
ヨガは、世界を調和する試みです。
全ての私たちは、私たちという小さくて複雑で、そして途方もなく大きな宇宙を持っています。
プラーナヤーマは、私たちに内在している宇宙を調和させるための、エネルギー循環を整える試みだと言えるのです。
プラーナ+アーヤーナ=プラーナヤーマ
アーヤーナとは、「伸ばす」「コントロールする」という意味。
この言葉の意味からも、何をするのか、何が目的なのか、わかりますね。
呼吸は心に引っ張られる
ランニングをしている方は、よくお分かりになると思います。
呼吸が苦しくなってきた、ということと、呼吸が乱れる、は別物である。ということ。
運動を続けるために、熱量を生産する材料として酸素が使われ、よりたくさんの酸素を必要とする呼吸
「あ、苦しくなってきた・・・」という動揺が呼ぶ、呼吸の乱れ
同じようで、全く違います。
体の働きに応じて変化するのが呼吸
心の動きで変化するのが息遣い=プラーナ
プラーナは、自分の意思(意志、ではない)で手綱をとるものなのです。
すると、体の動きが変わってくる。
体の動きがプラーナを通すようになると、ますますプラーナもよく通ってくる。
すると、心がすっと静かになる。
内田先生がさらりと寄せてくださったコメント、とっても深い言葉なんです。
これだけで、もう惚れ込むよね!