ヨガには根拠がある
ヨガの学習について必要なものは何でしょう?
ヨガのポーズだけではなく、呼吸法だけではない。
いくつかあるうちの、「聖典の読誦」はヨガの根拠となるもの。
それでは「ヨガの聖典」とは何でしょう?
一つづつ説明してゆきますね。
ハタ・ヨーガ・プラディピカー
ハタ・ヨーガを解説した書物です。
ハタヨーガというのは、現代我々が一般的に「ヨガ」と考える、ポーズ、呼吸、瞑想でなりたつヨガのこと。
私たちがヨガスタオジオで接するヨガは、ほぼこの「ハタヨーガ」の系譜だと思ってください。
パワーヨーガであろうが、アシュタンガヨーガであろうが、ヴィクラムヨガであろうが、ハタヨーガのなかのアプローチ法の一つです。
「ハタヨーガ・プラディピカー」は、16世紀ごろスヴァートマーラーマによって記されたハタヨーガの教科書です。
1.アーサナ(ポーズ)
2.ヨガ行者にとって適した生活法
3.プラーナヤーマ(呼吸法)
4.ムドラー(生命エネルギーを目覚めさせるための方法)
5.ラージャヨーガ(心の安定)
の順で解説されています。
この順番には意味があります。
段飛ばしではなく、一からコツコツと行なっていくことで、ようやく「無心」になれるかもしれないということ。
さらには、「ヨガアーサナ」の前に、良い心構え、やってはいけないことの規定があります。
ハタヨーガを行う意味
「心の作用(思い、考え、感覚など)をすべて滅して、なにごとにも揺らぐことのない自分を作るための段階である」
心の作用を滅する、これは最高のヨガとされるラージャ・ヨーガの極みです。
ラージャ・ヨーガは大変難しく、我々には達しがたいものであるために、古来ヨガの聖者たちは「階段」を用意してくれた訳です。
そのひとつが、私たちが親しんでいる「ハタヨーガ」。
ヨガの考え方は、「外側から内側へ、粗大なものから微細なものへ」という順を守って磨いてゆくということ。
ですから、心の安定を手に入れるためには体から整える必要があるのです。
人間の体が一番の外側
その次に気の流れ
次に気持ち
次に心
次に理知性
次に魂
こうして、内側へと意識の輝きを浸透させてゆく。
逆に内側から外側への輝きが増し、体の外、つまり自分以外の周りの人や環境に良い影響を与えられる人間になれるのです。
そのために、ハタヨーガを行います。
ハタヨーガを行う際、しっかり覚えておきたい「階段」というキーワード。
ポーズを行う際も、「階段」「段階」を踏むことを意識です。
体の怪我を防ぐとともに、ヨガの精神そのものを体現することができるから
だと私は考えています。
おすすめ書籍
ヨーガ根本経典
佐保田鶴治著/平河出版
日本においてヨガ古典書は、佐保田先生によって広められた言っていいで
しょう。
この本はハタヨーガプラディピカーの解説に入る前に、ヨーガとは何か語る
ヨーガスートラを解説しています。
「階段」としてのハタヨーガを理解するためには、目指す「ヨーガの本質」を
知っておく必要があると考えたのではないでしょうか。
尚、ハタヨーガプラディピカーは、整った体裁の原本が存在せず、文法なども
かなりいい加減な部分があるとのこと。
ポーズや呼吸法について佐保田先生が現代行われているヨガに照らし合わせ
理解できるように解説してあります。
ハタヨガの真髄
B・K・S・アイアンガー著/白揚社
古来伝わるヨガのポーズや呼吸法を、より理にかなった安全な方法として伝えたアイアンガー氏による「実技事典」。
ふんだんな写真と解説により、ポーズの取り方や呼吸法の概略がわかります。
事典として用いるのが、いいでしょう。
ヨーガを始める人のために
荻野貴美子著・田原豊道監修/池田書店
ヨガ入門書として、大変コンパクトにまとまった良書だと思います。
ヨガの思想からポーズ、呼吸法まで網羅されたわかりやすい書。
現在は最新版としてマントラCDがついているようですね。
母がヨガを始めた40年弱前、教科書として購入したものです。
ハタヨーガプラディピカー、実践的な解説書ですが、ポーズだけがヨガでないこともしっかり書いてあります。