芸能人の片岡鶴太郎さんの実演によって、ヨガの呼吸法が注目されています。
彼は腹筋を立てて、腹腔内で回転させる、ナウリを実演します。
一般にヨガ呼吸法と紹介されているようですが、ナウリとは呼吸法ではないのです。
内臓に溜まった「毒素」を排出する浄化法(クリヤ)の一つ。
そして、ナウリは正しく行うことが大変に難しく
間違ったやり方をすると病気を引き起こす危険性があります。
メディアに度々登場するので、少し詳しく解説して、安易に真似ないように注意を促したいと思います。
ヨガの呼吸ってどんなものがあるの?
呼吸というからには、息を吸って吐く。
呼気と吸気をどうするか、で様々な呼吸法があるのです。
例えば、片鼻を抑えて交互に息を出し入れするナーディ・ショーダナー。
右から吸って、左から吐くを繰り返せば、スーリヤ・ベーダナ(太陽の呼吸)
反対に左から吸って、右から吐くを繰り返せば、チャンドラ・ベーダナ(月の呼吸)
他にも火の呼吸(バストリカ)や勝利者の呼吸(ウジャイ・プラーナヤマ)など。
吸う・吐くの他にもう一つ大切な「止息」=バンダがあります。
バンダは、体内・心内にエネルギーを満たし循環させ、生命力・知力・精神力を高めてくれるもの。
このバンダが、話題のヨガ呼吸法に欠かせません。
ナウリの前に、バンダ
ナウリは、片岡鶴太郎さんの動画を見て分かる通り
みぞおちを背中に押し付け、肋骨を引き上げる
ことから始まります。
みぞおちを引き締めることは、ヨガの呼吸法の『止息=バンダ』の一つです。
バンダとは、吐くか吸うかの後に息を止めて、エネルギーを体内で循環させること。
みぞおちを締め付けるバンダはウディヤーナ・バンダといい、
『プラーナと呼ばれる巨大なエネルギーが脊柱内にあるスシュムナーというエネルギーの道筋を駆け上がる。
生命力を高め、若返らせ、体も精神も強くする』
『最高にして最も難しい』と言われるバンダです。
ウディヤーナバンダを完全に習得してから、ナウリを行います。
写真では、自撮りであるために直立してみぞおちを引き上げていますが
本来なら軽く膝を緩め、両手を膝あたりに当ててうつむき
胸を顎に押し付けるように盛り上げながら
息を吐き出した後に行います。
・・・思い切って43歳のお腹を出してみたけど、
この上肋骨くっきり写真はさすがにちょっとNG・・・・
胸を顎に押し付ける、のが「ジャーランダラ・バンダ」といい、喉を締め付けるバンダです。
脳をリラックスさせ、傲慢な心を穏やかにします。
夏場、昼間などピッタ(火のエネルギー)に傾いた時に良い方法です。
ヨガの呼吸法は、全体を閉めるからダメなのよ、と呼吸法の講師が言ったそうな
ジャーランダラ・バンダとウディヤーナ・バンダは簡単に区別がつきます。
ところがもう一つ、基底部のバンダ『ムーラ・バンダ』は、ウディヤーナ・バンダと区別がつきにくい。
この二つの区別を明確にできていない人の呼吸を、「ダメなの」と言ったのでしょう。
そう言われてしまうほど、実のところヨガをやっている人もバンダを正しくできていません。
ムーラ・バンダは肛門と尿道の間、男性ならば肛門と外性器の間、会陰と、
おへそまでの下腹部を引き上げ圧縮する感覚で行います。
見ての通り、極端にお腹はえぐれません。
ムーラ・バンダは息を吸い込んで止めて行う。
二枚の写真を並べると、よりわかりやすいですね。
繰り返しますが、ヨガの呼吸法、ナウリ浄化法は熟練したヨガ講師の教えを受けておこなってください。
事故を防ぐため、自分を守るため、興味本位で行わないようにしましょう。
具体的に、どんな危険性?
先ほどアップしたものは、不十分でしたね。
「危険性」とはどんなものがあるのか。
私が実感したものを上げていきます。
・血圧の急変化→失神する場合も
・目の前が白くなる→場合によっては失明することもあるようです
・鼓膜がひしゃげた感じ→中耳炎、あるいは鼓膜が破れる危険性も
・肺周辺の神経を圧迫する→激しい痛み
・性衝動を強く引き起こす→その感覚に溺れることも、体力の消耗、理性の喪失
などなど。
ヨガが秘儀と言われる所以でもあり、現代のヨガはこの辺りの理解が少ないため非常に危うい。
メディアも一言注意をしてくれたらいいのになあ・・・