こちらのコラムでも度々登場する「バガヴァッド・ギーター」。
ヨガイントラ資格講座で学んだ方は、読んだことありますよね?
世界で聖書に次いで、二番目に読まれている本なのです。
今日は「ヨガの聖典・ガバヴァッド・ギーター概略」をお送りします。
世界史インダス文明の授業で「世界で一番長い物語」って習ったことを覚えていますか?
あれは「マハーバーラタ」という大叙事詩のことです。
紀元前4世紀から紀元4世紀ごろに成立したと考えられる、なんと聖書の4倍にもなるとにかくすごい量の詩なのです。
なんの詩かと言いますと、インドの「バラタ族」という部族の歴史を詠ったもの。
(マハ=偉大なという意味ですから、『偉大なバラタ族の物語」というタイトルです)
「バガヴァッド・ギーター」は、長いマハーバーラタの中でもクライマックス!
バラタ族の中の、パーンドゥ族とクル族の戦いを描いています。
つまり、一族内で雌雄を決する戦いの場面を描いたストーリーなのです。
パーンドゥ軍の勇猛な王子アルジュナは戦場を目の当たりにした時、血を分けた親戚、しかも尊敬する人々とも戦わなければならないことを、初めて実感しショックを受けます。
アルジュナと心の通う人々も、敵であるクル族に忠義を立てる立場にあるため、戦いに参加すれば心ならずも殺し合うことになる。
そこでアルジュナは絶望し、戦いを放棄しようと自軍の軍師クリシュナに相談するのです。
クリシュナは、正義のために行うことの絶対的正しさと、与えられた役割を果たすことを2章以降で説くのです。
軍師クリシュナは、実は世界を維持するヒンドゥ教の最高神ヴィシュヌの化身なのです。
ギーターの始めの頃は、アルジュナはその事実を知りません。
クリシュナとの問答のなかで、クリシュナが神の化身だと知り、尊敬と無条件の信頼を深めて行きます。
迷い苦しむアルジュナですが、クリシュナは戦うように諭します。
武人として役割を果たすこと以外、アルジュナにとっての正義はありません。
しかし親愛の情、良心の呵責に苛まれるアルジュナは、神の化身クリシュナの言葉もなかなか理解しようとしません。
そこで、クリシュナはアルジュナが理解できるように、段階を追って諭すのです。
(1)カルマ・ヨーガ(行いのヨガ)・・・役割を果たすことの大切さ
(2)ジュニャーナ・ヨーガ(知識のヨガ) ・・・役割を果たすための心構え
(3)バクティ・ヨーガ(信愛のヨガ)・・・欲に走らず役割を果たす方法
ついにアルジュナは、心の迷いを晴らし武人として、一族の王子としての役割を果たす境地に至ります。
親戚と戦争する!殺し合う!という、日本では考えられないすごいシチュエーションの物語です。
「考えらえない」と書きましたが、本当にそうでしょうか?
私たちは常に、利益や欲のために一喜一憂し、いろいろな人とぶつかっています。
アルジュナのように済んだ平静な心を手に入れられたなら、その瞬間から私たちは心穏やかで平和に生きられるのです。
バガヴァッド・ギーターは、私たちが今すぐに参考にできる教えが書かれている詩なのですね^^