インドとスリランカのアーユルヴェーダの違い
両国のアーユルヴェーダ発展の歴史から知ると、より深くその違いが理解できるために、こちらをご覧くださいね!
インド国内でも違いがあるアーユルヴェーダ
さてさて、紀元後2、3世紀のインドに話を戻しましょう。
インドは広い。
その頃のインドは一国ではなく、小さな王国が並立する時代でした。
インド西北部に起こったクシャーナ朝の王、カニシカ王は仏教を保護したことで知られています。
この王の元、アーユルヴェーダは発展します。
仏教を保護したカニシカ王らしく、西北部で栄えたアーユルヴェーダは医師の倫理を強調し、内科的な治療を重んじた内容として発達します。
カニシカ王の医師だったとされるチャラカがまとめた医学書が、のちに『チャラカ・サンヒター』という一大医術書として今日も読むことができます。
一方インド西北部・カーシー地方を治めていたダンヴァントリーという伝説上の王の元では、また違った形でアーユルヴェーダは発展します。
西北地方のアーユルヴェーダは、武士や王族と関係が深かったと考えられ、外科手術も含めた形です。
この流れは『スシュルタ・サンヒター』という書物にまとめられました。
以上のように、アーユルヴェーダは発祥国インド内でも地方の特徴、気候条件の違いなどにおいて、違った形に発展しています。
治療の手法・手技は医師によって違う
アーユルヴェーダの違いは、『インドかスリランカか』というより、医師によって違うと考えると良いでしょう。
流派によって治療法、施術法も違います。
私たちが親しんでいるアーユルヴェーダは、オイルマッサージ・オイル滴下等の施術です。 一般的に 『インド系のオイルマッサージはワンストロークで全身をマッサージする』 『スリランカ系は体をパーツごとに分けてマッサージする』 と言われますが、これも流派次第で違います。 実際私が受けた『インド系アーユルヴェーダマッサージ』は、全身をパーツごとに分けた細やかな手技でした。 現代のインドは、ヒンドゥ教徒が多く、スリランカは仏教徒が多い国です。 宗旨の違いによる施術のテイストの違いもあるかもしれません。 概して、スリランカの施術の方が柔らかな印象です。 これが一番興味のあるところかもしれません。 インドは先に触れたように、ヒンドゥ教が多くを占める国です。 ヒンドゥの中で発展してきたインドでは、水銀をシヴァ神の性液・硫黄をシヴァの妃パールヴァティの経血とされ両者が合わさることで命の誕生があるとされています。 今でもアーユルヴェーダのオイルに水銀、硫黄を始め有毒な鉱物が含まれていることも少なくありません。 宗教の教えに関わることなので、この件の是非については言及しません。 アーユルヴェーダの有名な丸薬・オイル『トリファラ』は、強力なデトックス効果があり、インドでも大変用いられるものです。 一説には体内に取り込んだ水銀等有害物質を排出する意味もある、とのことです。 スリランカでは一般的に入手できるオイルに有毒な鉱物が含まれることはほぼありません。 ただし、医師に個別処方されたオイルの中に含まれることは稀にあるということです。 スリランカ旅行中にアーユルヴェーダ医師にオイルを処方された場合は、少し注意が必要かもしれません。 正規輸入されたオイルは、成分を届けなければなりません。 有害な物質が含まれているものは、輸入することはできません。 逆に言えば、正規の輸入オイルはその点をクリアしており、安全です。 少し脱線しますが、日本のアーユルヴェーダサロンにで 『旅行中に買ったアーユルヴェーダ薬草オイル』を使用しているところもあるようです。 これは上記の理由から、大変危険ですので、サロンを利用なさる前に薬草オイルが正規輸入されたものかどうかをチェックすることをお勧めします。宗教による施術者の性質の違い
オイルの違い・有害物質の有無