スリランカ研修ーアーユルヴェーダ医療職

スリランカアーユルヴェーダの医療職

スリランカでは、西洋医療と並んでアーユルヴェーダをはじめとする伝統医療も、法律に基づき整備されています。

地位も、同等です。

伝統医療省のサイトに、届出が必要な医療職の分類について書かれています。

ドクター(医師)、アシスタント(看護師)、プラクティショナー(施術者)、ファーマシー(調剤師)を届け出ることが義務付けられています。

アーユルヴェーダ医師

研修を担当してくださったDr.Prasd。

男性の医師は、シャツに革靴といういでたちが定番だそう。

女性医師は、サリー。

スリランカでは、医師の他に教師等公的な仕事に就いている女性はサリーを着る、とガイドさんから聞きました。

アーユルヴェーダ医師は、定められた教育課程を納め、医師免許を取得しなければなりません。

一方、伝統医療が法律で定められる以前より、スリランカではアーユルヴェーダ医師の家計が脈々と続いています。

ヨーロッパ植民地時代に、スリランカの伝統医療は駆逐され、その技術や知識はかなり失われてしまいました。

しかし、現在も代表的な5軒の伝統的アーユルヴェーダ医師の家系が残っています。

アーユルヴェーダは8部門の科があります。

内科、外科、耳鼻科、小児科・産科、毒物科、精神科、強壮科、性医学科

5つの伝統家系はそれぞれ専門分野を持っており、Dr.Prasadの母方の家系は十二指腸、子どもの栄養失調等を専門にしている家系です。

他にも小さな家系も存在します。

このような伝統医療の家系に生まれたが、国家資格を有さない人もいて、現在では診察・指導はできないことになっています。

アーユルヴェーダの医師といえど、施術や調剤も全てできる万能医師、できない医師がいます。

この脚、私の脚です^^;

Dr.Prasadに直接技術指導を受けた時、モデルになったわたくし!

ドクターのマッサージを体験するという貴重な機会に恵まれました。

生家がアーユルヴェーダ医師家系であると、幼い頃から診察や施術を目にしているのでスキルも知識も豊富な医師が多いようです。

アーユルヴェーダ看護師

一定の教育を受け、アーユルヴェーダの理論も学んだ看護師。

彼女はこの病院一番の看護師であるということ。

この後患者さんに薬草オイルを点鼻していました。

外来で治療していた男性看護師。

アーユルヴェーダプラクティショナー

プラクティショナー(施術者)は、理論を学びません。

技術だけを学び、施術をしています。

正直なところ、外見からは看護師との違いがわからない。

この方々も、もしかしたら看護師かもしれません。

質問すればよかった。

私のように医療資格を持っていない施術者は、プラクティショナーに当たります。

日本の「セラピスト」を名乗る施術者の大半は、実はプラクティショナーです。

アーユルヴェーダ薬剤師

外来の薬局で働く薬剤師たち。

薬工房で働く彼は、薬剤師ではなく技術者だということでした。

白衣の女性は、薬を取りに来た薬剤師さん。

ハーブ農家

法律的に届出を義務付けられていませんが、伝統医療省では薬草(ハーブ)農家への指導、助言をしています。

薬草の適切な育成と、技術向上、薬草の保全等を目的としています。

アーユルヴェーダを支える、大切な部門です。

病院の庭に生えている草も、雑草でなくて薬草!

ちょっとした薬草ガーデンになっていました。

アーユルヴェーダの位置づけ

研修の最後に、Dr.Prasadの言葉がありました。

「あなたたちの学んでいるアーユルヴェーダは、素晴らしい生命の真実です。

時にはあなたたちの主張や理論が受け入れられないこともあるでしょう。

そういう時は、じっと相手のいうことを聞くのみにしなさい。

忍耐です。

相手を打ち負かそう、説得しよう、と思わないようにしなさい。

そして、あなたたちのできることをコツコツ続けなさい」

この言葉に、スリランカ伝統医療の辿って来た険しい道を感じました。

ヨーロッパ人に持ち去られた、アーユルヴェーダ医学書。

大英博物館にも展示してあるそうです。

今も返還要求は撥ね付けられている。

植民地時代、時代遅れ・原始的と迫害されたアーユルヴェーダ。

医師の家系が5つしか残っていないという事実が、その歴史を物語っているように感じます。

そのような歴史の中で、忍耐、と教えたDr.Prasadの言葉に、アーユルヴェーダの精神の素晴らしさを改めて思い知りました。

私がアーユルヴェーダに引き込まれた瞬間です。